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【ライブレポ】MAN DRIVE TRANCE[2000.04.29]

この記事に掲載する内容は、2000年に心斎橋クラブクアトロで行われたROVO主催のイベントMAN DRIVE TRANCEのレポートであり、その当時に書いたものの再編版です。

私が20歳前後のころに書いた稚拙な文章ではありますが、当時の熱や思いが伝わるようその当時に書いた文をなるべくそのままに、間違っていたりあまりに青臭い部分は修正して掲載します。

 MAN DRIVE TRANCE[2000.04.29]

ピラミッド発売記念

ワントラック43分16秒の新作「PYRAMID」の発売を記念したROVOのイベント、MAN DRIVE TRANCE。

今回で二回目の参加になりますが、今日は「ピラミッド発売記念ヴァージョン」と銘打たれており、ライヴであの43分に及ぶ大作が聴けるようで期待大。ゲストの2バンド、サイコババとスピードメーターも楽しみに前回と同じクアトロへ行って来ました。

今回ももちろん当日券。

早めに行って飯食ったりしつつ心斎橋周辺をうろうろしてたら、やっぱり今日のライヴ出演者と遭遇。本町方面から長堀通りの横断歩道を渡っていると、すぐ目の前に金髪の人とヒョロ長い人が、「益子くんは道とか迷うほう?」「いやーぜんぜんダメだよー」みたいな会話をしてました。あ、これは益子さんとベースの原田さんだ!と気付いたのですが、そんなに華がある人達ではないので(すいません)確信が持てず、ただ後ろ姿を見送るしかありませんでした。心の中で「がんばってくださーい」と応援。

サイコババ

19時に会場へ入ると間もなくサイコババのライヴがスタート。このバンドはシタール、タブラ、ドラム、ヴォーカルの構成。ヴォーカルはボアダムスのヨシミさん。ヴォーカルというよりかはヴォイスといったほうがしっくりくるようなパート。KORGのKAOSPADに声を通して、エフェクトをかけまくります。

ディレイをバンバン飛ばしたり、フランジャーでキュイーンとさせたり。鼓膜に突き刺さるような強烈な音でありながら神々しくもありました。もう完全に声が楽器の一部と化しています。

そしてまたタブラの音が強烈。アンプのすぐ前にいたからと思うけど、ポンッって叩かれるだけで軽く頭を殴られたような衝撃。このタブラがベースの音を出しドラムを加えて四つ打ち、ブレイクビーツと変幻自在のリズムを生み出します。それに加えて適当に弾いてるようで実は凄そうなシタールが加わり、始まりも終わりもないような涅槃の世界の音を奏でていました。インプロヴィゼーションでやってるような感じで、約四十分ノンストップの演奏が続きました。

スピードメーター

サイコババのライブ終了後、アンプからは「南南東の風、風力5…」と、NHK AMラジオの気象情報のサンプルが。後方のDJブースでスピードメーターの演奏が始まりました。DJブースを覗くとノートPC、真っ赤なNord Lead、ミキサーetc…という構成。

ゆるいけど深い感じのトラック。でもフロアにいる人はDJブースには気付かずにSEだと思ってる様子。ぜーんぜん踊ってないもの。クアトロのDJブースってほんと注目されませんね。そんなゆるゆるトラック(良い意味で)に体を揺らすこと15分、ROVOの登場前にして音が止まってしまいます。ん?妙な間のあとDJブースではヒソヒソ話。どうやら打ち合わせがうまくいってなかったらしく、ROVOライヴ前に音を止めてしまったみたい。なんとも言えない間のあと再び音がなりましたが、退屈な16分のハットとミュゥーーゥンというシンセの音がしばらく鳴り続けました。

ROVOのライブ開始

なすすべもなく佇むこと5分、ようやくROVOのセッティングが完了しスピードメーターの演奏が止まりました。と共にROVOの演奏がガツン!とスタート。

一曲目は「imago」から「HORSES」。四つ打ちを基調にしたなんともいえないリズムの曲でのっけから全開。6人の音が渾然一体となってエネルギーの塊ような音が襲ってきます。前回同様に後ろにドラム×2とベースの三人のリズム隊、前にギター、シンセ、バイオリンの二段構え。ただ前回のライヴと少し違う点は益子さんの機材構成で、前回はミキサーでの作業が大半だったのに対して今回はシンセの手弾きが目立ちます。

「KNM!」では前回はシーケンスだったシンセのフレーズも手弾きで聴かせてくれました。やっぱりどの曲も徐々に徐々にテンションが上がっていく感じで、自然と体が動かされる。テクノとかの直線的な盛り上がりじゃなくて、自由自在に曲線を描いて盛り上がっていく感じです。気持ちよすぎ。

が!今回のライヴは前回とちょっと様子が違う。いや演奏の方は以前に増して素晴らしいんですが、問題フロアの方に。ぜーんぜん客が踊っとらん!ふと見渡しても動いてる人を見つける方が難しくて、大半の客は突っ立ってるだけなんです。大げさじゃなくて大半が棒立ち。一体何しに来たんだろうか?ライヴはこうじゃなきゃいけないとか決めるのは嫌だけど、こんな自然と体が動く音楽で棒立ちはもったいないでしょう。まあこの際それは置いといて….

PYRAMID

ROVOには珍しい女性のコーラスの音とともにいよいよ「PYRAMID」の演奏がスタート。

ゆったりとしたパーカッションと女性コーラス、ハーモニカ、お椀みたいな楽器がアンビエントな空気を創り出します。そしてCDではコントラバスだった前半のベースのパートがライヴではディジュリドゥに。ブイィーッ♪ビヨョーン♪と私的にはすっかりお馴染みとなった音が響きます。いつの間にディジュリドゥを見ても普通の楽器に思えるようになってしまったんでしょかねえ。

しばらくしてハットの音がなり始め、ようやくリズムが走り出す後半部がスタート。ツインドラムスの重厚なリズムが鳴り始めました。ゆったりしたBPMが次第に加速し始め個々の演奏の方も次第にテンションが上がっていきます。

ここでも益子さんは手弾き。しかも上手いしなんだか楽しそう。あーやっぱりできる人はできるんだなーと感心しているうちに、気がつけばリズムはドラムンベースのそれに。それでもまだ徐々に徐々にスピードが上がり、限界を超えるような信じられないくらいの演奏になりました。

これは単純に凄い。とんでもないです。発狂寸前。スピードが限界まで上がったところで超絶なドラムソロのあといよいよクライマックス。CDでも驚愕したラスト一分弱のスペース・メタルとでも言うべきパートに突入しました。これがもう、拳を振り上げてウオーッ!!って叫びたいぐらいのテンション。一気に大気圏外まで吹っ飛ばされた心地でした。あー気持ちいい!

最高のテンションのままスッと演奏は終わりライヴは終了しました。やっぱり凄かった。今や俺の中では最強のライヴバンドのひとつです。今年のROVOは富士ロックへの出演も決定してますます勢いのついているROVO。あー次は野外で聴きてえなあ。