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【ライブレポ】BOOM BOOM SATELLITES[1999.05.24]

この記事に掲載する内容は、1999年に心斎橋クラブクアトロで行われたBOOM BOOM SATELLITESのライブレポートであり、その当時に書いたものの再編版です。

私が20歳前後のころに書いた稚拙な文章ではありますが、当時の熱や思いが伝わるようその当時に書いた文をなるべくそのままに、間違っていたりあまりに青臭い部分は修正して掲載します。

 BOOM BOOM SATELLITES[1999.05.24]

4ヶ月ぶりのブンブンサテライツ

成人の日にCLUB DAWNにて行われたライブから四ヶ月、再び参戦しました、BOOM BOOM SATELLITESのライブに!

この四ヶ月の間にブンブンさんはUKでレコードデビューを果たし(USでも六月にデビュー)、ヨーロッパ各地とアメリカをツアーしたワールドツアーのファイナルとして、今回の日本でのツアーがまさに凱旋帰国ライブとなったわけです。

一回り大きくなったことであろうブンブンのライブはもちろん、前回のDAWNで男気溢れるDJプレイを聞かせてくれたHIRATAさんのDJにも大きな期待を膨らませながら会場であるQUATTROに向かいました。

当日、大阪の天気はあいにくの雨。そんな中、何故か前売り券を買うということをしない僕らは当日券を狙って開演2時間前の午後五時に集合。早速会場に向かうも、スタッフに「当日券の発売は六時からなので10分前に来て下さい。」と早々に追い出される有様。

川島さんとの遭遇

仕方なく軽く腹ごしらえして、QUATTROの階下にある楽器屋で時間を潰す。そうしてるうちに時間が近づいてきたのでエレベーターに乗って会場へ向かおうとしたその時、事件が!エレベーターのドアが開いて、その中に立っていたのはブンブンのGuitars&Vocalの川島さん!!これはびっくりした。

リチャード(APHEX TWIN)を見たときよりびっくりした。しかもオロオロしてる俺らのためにエレベーターの”開く”ボタンを押してくれてるよ、オイ!みたいな感じで恐る恐るエレベーターに乗り込んだわけです。一つ上の階に上がるだけ間なのに、エレベーター内の閉鎖感との相乗効果で倍増した緊張感で妙に長い時間に感じられた。なんで「がんばってください!」の一声もかけれんかったんやろと後で後悔するも、その場は会場入りする川島さんの背中を見送るしかありませんでした。この一件で悟ったこと「当日券には何かある!」(500円高いぶんだけ)

前置きが長くなりましたが、何とか当日券を手に入れ開演直後の七時過ぎにフロアへ突入。

Shinichiro Hirata

既にHIRATAさんのDJが始まっており、フロアは大盛り上がり!と思いきや、なんだか踊ってる人は少ない。もちろんHIRATAさんDJはバリバリかっこいいんだけど、今回はロックよりのお客さんが多いようで、いささかクラブ慣れしていないような感じ。かと言って自分がクラブ慣れしてると言うわけではないけど。「ブンブンまだかなー?」って感じで、誰も居ないステージに向かって仁王立ちの人多し(DJが終わるまでの一時間ずっとそうしてたんだろか?もったいないぞ!)。

でもそんなことお構いなしに自分は自分で盛り上がるのです。前回のDAWNでのDJは、クラブというシチュエーションからかエレクトロが多かったような記憶があるけど、今回はハードなブレイクビーツものを中心にプレイされていました。

今回もピッチシフターのリミックスを期待するもかけてもらえず。いやー、でもしかしかっよかった。この人のDJは”良い”とかいうよりも”かっこいい”んだな。よくわからんけどそんな感じなんです。終盤にブンブンの「JOYRIDE」をさりげなくミックス。しかし一聴してブンブンの曲と分かる複雑なビートのこの曲、まさかこの曲がアンコールで恐ろしく格好良く生まれ変わって聴けるとは、この時は知るよしもなかったのです…

およそ60分間のDJプレイが終了。音と照明がゆっくりフェードアウトすると共に、ステージ後方のスクリーンに”BOOM BOOM SATELLITES”の文字が。待ってましたという感じに一気にボールテージの上がるフロア。

MISSING NOTE

歓声の中メンバーが登場し、静かに「MISSING NOTE」のイントロが流れ出す。徐々に音数の増える良い意味でもったいぶった音とボーカルがゆったりとした重いビートに変わった瞬間、一気にフロアが揺れだした。これぞブンブン。やっぱり音が太い!野太い!間奏にドゥーンとエレクトリックなキックの音が入っていたりして微妙にアレンジも変わっている。これは期待できるぞと思いつつ、次の曲へ。

DUB ME CRAZY VER. 02

ブゥーン、ブゥーンとうなるイントロが強烈な「DUB ME CRAZY VER. 02」、一曲目より幾分BPMが早くなり、このあたりからフロアはピョンピョン跳ね始める。というか跳ねるしかない!しかし、こうひたすらピョンピョン跳ねまくるライブってブンブンぐらいかなーとか思う。これがまた、バスドラの音と着地の瞬間がシンクロするとキモチイイんだな。なんだか自分がドーンドーンってバスドラの音鳴らしてるみたいで(笑)。

DIG THE NEW BLEED

急激に上がったテンションを保ったまま三曲目の「DIG THE NEW BLEED」に突入。毎回ライブやっててボコーダーボイスが印象深いこの曲。なんかのCDかアナログに入ってるのかな?知ってる人いたら教えて欲しいっす。思えばファットボーイスリムの日本公演の時のブンブンのライブを、インターネット中継で見ていたとき、初めてブンブンのライブをみて「スゲー!」って思ったのはこの曲だっな。珍しくボーカルが印象に残る曲ですね。

PUSH EJECT

DIG THE NEW BLEEDが終わって間髪入れずに、研ぎ澄まされたようなオクターブ違いのピアノの音が。「PUSH EJECT」だ!ウォー!ギャー!タスケテー!てな具合に盛り上がりまくりましたよ、この曲は。15/16拍子という恐ろしくノリづらいリズムにかかわらず。四分でリズムとって跳ねてたらどっかで半拍ズレて「アレ?」ってなるのに、なんかこう得体の知れないパワーが。そして前回のライブではなかった、大合唱!凄いなー、こんな厄介な曲で合唱がおきるとは。みんなサイコー!

LIMBO

PUSH EJECTで一つの山場を迎え、アルバム「OUT LOUD」と同じ流れのまま「LIMBO」へ。ギターとボーカルの音を混ぜた?TalkingModulatorでのボーカルと、ゆったりした重いビートが相まって、なんだかトリップ感のある曲。ライブで聞くとより一層その感覚が味わえる。中野さんの生ベースもブゥーンとうなる。ブンブンのライブではいちばんセッションしてるなーって感じの曲ですね。ライブ映えする。

AN OWL

その後、一転して速くなったBPMの「AN OWL」へ。より速く、よりdrum’n bassぽくアレンジされた感じで、LIMBOでどっぷり浸っていたフロアも再び跳ね始める。

SCATTERIN’ MONKY

続く「SCATTERIN’ MONKY」も、アグレッシヴなdrum’n bass!!でもやはり踊るというよりかは跳ねまくるのです。ピョンピョンと。しかしいつもながら生でdrum’n bassを演奏する技量には圧巻。今回はちょっとばかり控えめな感じがしたけど、やっぱりドラムのHIRAIさんはスゲー。あのグルーヴィーさはちょっと他では聴けないですよ。

ONENESS

大盛り上がりだったSCATTERIN’ MONKYが終わり、一瞬のクールダウンのあと「1.2.3...」のHIRAIさんのカウントと共にドーンという感じで「ONENESS」が始まった。ほんとにドーンって感じでしたよ。ブンブンの曲でいちばんロックっぽくて、CMでも使用されているこの曲、まさにライブのハイライトでした。いやー、ほんとに盛り上がった!やっぱりブンブンの曲で認知度は最も高いんだろーなー。まさにライブ!という感じで一気に駆け抜けたこの曲でライブ終了。

やはり今回もMCは無かったなあなんて思いながら、アンコールを期待する。MCもやらないぐらいだから、アンコールは一切無しかもな、なんて不安に思ってると中野さんとHIRAIさんが登場。

JOYRIDE

中野さんがおもむろにコンソール内のシンセらしきものをいじって流れ出した音は、かたーい音の四つ打ちのキック!テクノテクノ!まさかブンブンが四つ打ち曲をやるとは。もしかすると新曲?がしかし、聞き覚えのあるシンセのリフが。おお「JOYRIDE」だ!この新アレンジのJOYRIDEはマジでかっこよすぎた。気持ち良すぎ。途中からは三人のセッションで生テクノ!こんなん聴いたの初めてだー。今回のライブでいちばん印象深かったし、一番盛り上がったんではないだろーか?ぜひともリリースして欲しい。

狂気の渦だったJOYRIDEが終わると再びMC無しでブンブンはステージを去りました。客電がついたのでもうアンコールは無い感じなので、ステージの機材をチェックしたり、友達がステージ横にあったギターのエフェクターケースの中に自作のテープをこっそり入れたり(笑)したあと、大満足で会場を出ました。

海外ツアーのあと、やはり前回より確実に進化しているのを痛感。7月にはFuture Music FestivalとFuji Rock Festival ’99を控え、その後は6週間にもわたる全米ツアーが予定されているらしいです。今年は世界に向けて大きく飛躍するはずのブンブンサテライツ。早くも次のライブが楽しみになってきました。またさらに進化したブンブンに期待!!

LIVE SET LIST

  1. MISSING NOTE
  2. DUB ME CRAZY VER. 02
  3. DIG THE NEW BLEED
  4. PUSH EJECT
  5. LIMBO
  6. AN OWL
  7. SCATTERIN’ MONKY
  8. ONENESS

-ENCORE-

  1. JOYRIDE

2017年の視点で振り返る「BOOM BOOM SATELLITES[1999.05.24]」

このライブから17年後の10月、川島さんが亡くなったとの報せをネットニュースで見ました。

その時思い出したのはこのライブの開演前にエレベーターに乗り合わせたこと、その数ヶ月前の梅田DAWNのライブで私がステージに寄りすぎて手を踏まれたこと。晩年は病気と闘いながら文字通り命を削って音楽を生み出していた川島さんに敬意を表します。言葉が適切かどうか分かりませんが、おつかれさまでした。

3枚目のアルバムぐらいまでは熱心に聴いていてその後はあまり追いかけていませんでしたが、最後までかっこいいバンドでした。

バットマンのダークナイトだったかな、劇中で「SCATTERIN’ MONKY」が爆音で流れたときは鳥肌がたちました。なんの予備知識もなかったから「俺たちのブンブンサテライツが世界に!」という誇らしさを感じました。

最後にライブを見たのは2004年に大阪ドームで行われた「SATURN」ってイベントでのライブ。ドームの中じゃなくて、ドームの外周を囲むウネウネしたパイプ部分で行われた面白いイベントでした。