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【ライブレポ】A NIGHT WITH THE RePHLeX ALL STARS[1998.12.04]

この記事は1998年に大阪のベイサイドジェニーで行われた「A NIGHT WITH THE RePHLeX ALL STARS」のライブレポートであり、その再編版です。

私が20歳前後のころに書いた稚拙な文章ではありますが、当時の熱や思いが伝わるようその当時に書いた文をなるべくそのままに、間違っていたりあまりに青臭い部分は修正して掲載します。

A NIGHT WITH THE RePHLeX ALL STARS[1998.12.04]

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行って来ましたよ、A NIGHT WITH THE REPHLEX ALLSTARS in ベイサイドジェニーへ。

開演前のRephlex軍団とニアミス

前売り券を買ってなかったので、当日券を狙って開演二時間前の午後八時に会場へ。

が、まだ誰も並んで居ない。日にちを間違えたのではと心配したが、ちゃんと開催されて当日券を買えることも分かったのでとりあえず安心。入り口に座り込む。

しかし開演1時間前になっても僕らを含めて並んでる人数が四人。多分雨が降ってるからだろう。フロアがガラガラだったら楽しいだろうなと期待したりする。

午後九時前、会場の正面入り口から外人がゾロゾロ出てくる。実は今回のイベント、リチャードとDMX Krew以外は予備知識がなかったので「あの中にリフレックスの人がいるかもな。」なんて言っていると...いましたよ、リチャードが!(髪を切ってすっきりしていた。ヒゲはまだあった)そしてDMX Krewのエド(クルーだけど一人。かなり背が高い)も確認。

僕らの目の前を通ってリフレックス軍団ご一行は、近接する大観覧車(世界一らしい)に乗りに行った。(その後、観覧車を降りたリフレックス軍団は、日本人の女の子(?)を従えてどこかへ消え、開演15分前の21:45分まで帰って来ず....何処に行ってたんだろうか?)

開場

午後十時、開場と同時に会場に入る。誰もいないフロアへ一番乗り(張り切りすぎ?)。

今回はライブが主体らしく機材関係がステージのフロントへ、DJブースは一見どこにあるか分からないほど奥まったところにあった。まずは二階に椅子を確保して居場所を確保。

そうこうしているうちに少しずつフロアが埋まり出す。開演から40分ぐらいたったころ、ずっとSE(最初の15分間ぐらいずっと”屁”みたいなブーッって音がなってた....)がかかってると思っていたらいつの間にやらDJブースでDJが回していることに気付く。上から見ていてこんな感じだったんで、フロアに居る人はほとんど気付いてなかったんではないだろうか?しかも暗くて顔も見えなくて誰なんだか分からない。そんな謎を残しつつ一人目のDJが終了。

客からの「誰だー!?」の声に会場は大ウケ。

続いて2人目のDJ。コレも誰だったんだろう?再び会場から「誰だー!?」の声があがるがもちろん二回目はウケない。こんなことで笑うほど大阪人は甘くない。

Kiyoshi Izumi

三人目のDJはリフレックスの日本人Kiyoshi Izumi。たしか元ボアダムズのメンバー(だったと思う)。なかなか踊りやすいエレクトロでようござんした。もう一人ぐらいDJした人、いたような気もするけど分からんからいいや。

午前0時頃からはライブタイム。最初は誰だか知らないが、硬いブレイクビーツにラガマフィンをのせた曲調が主体のライブ。わずか15分程で終了。でもなかなかよかったですよ。

DMX Krew

そして次はいよいよDMX Krew(Ed Upton)のライブ。

MCとともに妙ないでたちでエドが登場。真っ白なツナギに銀ラメのベストを着用し、頭には白いハチマキ。大昔のSF映画とかにでてくる宇宙人みたいな格好と云えば分かってもらえるでしょうか?

一人で機材を操り、インカムをつけて一人で歌う(ロボットの声みたいなエフェクトかけて)。一人クラフトワーク状態。こんなライブ初めて見た。でもなんだか分からんがカッコイイ。曲調はもちろん全編エレクトロ!最近エレクトロ好きの僕にはたまりません。

哀愁を帯びたメロディのエレクトロからアッパーな四つ打ちの曲まで会場をわかせてくれました。時々「アツイデスネ。」などの日本語を交えながらのMCもいい感じ。

クラフトワークの「Showroom Dummies」をカバーした12インチシングルに入ってた「マネキン」もやってくれたし。サンプラー(シーケンサー?)のパッドを生で叩いたりして文句ナシにダサカッコイイライブでした。

Cylob

続いてサイロブ(hris Jeffs)のライブ。

DMXで疲れたので、カクテルを飲みながら二階に確保した椅子に座って見た。この人は赤いサンタの衣装(着ぐるみ?)を着てのライブ。太い体型に相まって、妙に似合ってる。ああ、でもどんな感じの曲をやってたか覚えてませんわ。でも「ホウホウホ~ウ!メリークリスマ~ス!」って言ってたなあ。あっ、そういえばDMX Krewとサイロブはまったく同じ機材を使ってました。なんか使い勝手が悪いみたいで、時々エドが助けにはいってたよ。よく動く人だ。

AGENT30(Bogdan Raczynski)

続いてAGENT 30(Bogdan Raczynski)のライブ。

といってもこの名前はあとで知ったんですけど。とにかくコイツのライブが一番盛り上がったんではなかろうか。

彼は赤色のなんともいえない着ぐるみ(ゴレンジャー風)で登場。日本語が妙に上手い。というか着ぐるみの頭を取るまで中身は日本人だと思ってたぐらい。機材はノートパソコン一台のみ。その唯一の機材にもロクに触らす、ステージ狭しと踊り狂い、そして絶叫する。そのキレっぷりがもの凄い。

その様子を二階の椅子に座って静観していた僕もたまらずフロアへ。超高速ブレイクビーツにAPHEX風の美旋律。フロアは狂気の渦で、まるでハードコアのライブのようだった(行ったことないけど)。

曲が終わるたびに流暢な日本語でMC。「ミンナアリガト。」、「ツギハ、ドウシヨッカナ...」と頼りないMCと曲の激しさの落差がおもしろい。フロアからの「なんでそんなに日本語上手いの?」の問いかけに「ナンデダロ?ワカンナイヨ...」と答える。フロアは大ウケ。そんな調子でライブは進んでいき、正味1時間ほどのライブでがっちりオーディエンスの心をつかみ、二度のアンコールに応え、大盛況のうちに彼のライブは終了した。

Mike Dred

次はマイク・ドレッド(Kosmik Kommando)のライブ。

爆発ヘアのヅラにサングラス、白衣のように見えるヒラヒラした服(プリンス風)で登場。一見マッドサイエンティスト風の風貌。しかし、何故これ程までにリフレックスの人は見た目でウケを狙おうとするのだろうか?まあオモシロイからええんやけど。リフレックスのカラーってもっとインテリジェントな感じだと思ってたのになあ。

ちなみにこの人の機材は309とサンプラー、あと未確認だけどBOSSのDR-202を使っていたような(ロール音と見た目の形から判断)。この人も、どんな感じの曲をやっていたか覚えていないです。

何故なら、もうこの辺からステージ上ではリフレックス軍団が踊り狂い(とくにエドが一番元気で最初から最後まで踊っていた)、ステージ上から水やらビール、紙皿、フライヤー、スナック菓子、アメ、CD、リフレックス軍団がボンボン飛んでくるカオス状態。

もうなにがなんだか分からない。

リフレックス軍団に無理やり盛り上げられているような気もしなくはなかったが楽しかったのでヨシ。ホントどんな音楽がかかってたかなんて覚えてないんです、スンマセン。そしていつの間にやらライブ終了。ヅラを取ったら彼はスキンヘッドでした。ついでに台に上ってケツも出してました。バカでした。

DJ GRANT

ライブ終了後はDJグラント(REPHLEX MASTER CONTROL)のDJ。

例によって奥まって暗いDJブースなので姿は見えず。リフレックス軍団自ら、ステージ前部の機材を片付け始める。あとで思ったことだが、たぶん暴れるためのスペースを作っていたんだろう。

ほんとにもうわけ分からなくなってきた。

ステージ上ではバカみたいにリフレックスの人達が踊ってるし、誰だかわからんオバサンがステージ上からペットボトルの水を撒きまくってるし、なんか投げてくるし、人(主にエド)が飛んでくるし。狂ってる、コレは狂ってる!!

しまいにはリフレックスのメンバーの一人が、客をステージに引っ張り上げたのを契機に、フロアの人間がいっせいにステージに上がり始めた。もちろんどさくさに紛れて僕も上がってみる。

見る間にステージ上はすし詰め状態。50人ぐらいは上がってたんではないだろうか。一気にステージの奥へ押しやられてしまった。そこから会場全体を見渡すと以外に狭い。客観的に見るとフロアが思ってたよりもおとなしい。なぜか”学芸会”という言葉が僕の脳裏に浮かぶ。

しばらくするとスタッフに「降りて。」と、肩を(強く)グイッと(冷たく)押されたので素直に従ってフロアへ戻る。でも15分ぐらいはステージに上がったままの客がいたなあ。APHEX TWINの「COME TO DADDY」がかかったところで狂気は頂点を極めた。もはや踊ってるんだか暴れてるんだか分からない。いったいコレはなんなんだろう?ライブ?DJ?

リチャード・D・ジェームス

グラントのDJに続いて、いよいよ御大リチャード・D・ジェームス(APHEX TWIN)のDJが始まった。

顔はよく見えないが、やっぱり髪を切っている。開演前に見たのはリチャードに間違いなかったようだ。

よく覚えていないけど、最初は意外にミニマルな曲がかかってたような。でも異常にBPMが速かった。どんなDJをするんだろうと期待が高まる。

が、しばらくすると音が止まる。リチャードの姿も見えない。どうやらその場に座り込んでいる様子。リフレックスの面々が「モット暴レテクダサーイ。」と嘆願。なんだ?リチャードは機嫌が悪いのか?「ボスの機嫌が悪いからもっと暴れてよ。」と言ってるようにとれなくもない。(俺の思いこみ?)

しばらくすると再び曲が流れ始めるものの、また一曲でストップ。しまいには客電がともる。フロアは一時呆然。でもフロアからリチャードコールに、ブースから手だけ出してしぶしぶDJを始める(ように見えた...)リチャード。

自身の「Bucephalus Bouncing Ball」をかける。鉄球が跳ね回ってるようなこの曲、大音量で聞くと凄まじい。でもとうてい踊れる曲ではない。やはりこの曲が終わると音が止まる。

どうやらコレにてパーティーは終了。リフレックス軍団も裏へ引っ込む。なんとも後味の悪い終わり方。消化不良だった。めっちゃ楽しかったけど…

終了

…会場を出るため、二階に置いていた荷物を持って階段をおりようとしたところ、VIPルーム横のテラスからフロアを眺めているDMX Krewのエドを発見。

友達が声を掛けたので、とりあえず僕も”SEE YOU!”と一言。さっきまでの狂いっぷりが嘘みたいに、寂しいような疲れきったような顔をして、”Ya-”と力無く答えてくれた。無理してたのかも?とちょっと心配してみたり。

会場を出るとまだ外は真っ暗。時計を見るとまだ午前5時半。

おまけに雨がザーザー降っている。傘は持っていない。小腹がすいたので駅前にあったローソンへと急ぐ。

雨に濡れながら考えた。今日のバカ騒ぎはいったいなんだったんだろうと。なんか音楽的なことはよく覚えていないし、コレといって心に残るようなこともない。でも楽しかったし、心からバカ騒ぎしたなあという気持ちは存分にある。妙な高揚感があったし。あっ!これがチラシに書いてあった”ブレインダンス”ってヤツか?

2017年の視点から振り返る「A NIGHT WITH THE RePHLeX ALL STARS[1998.12.04]」

姿を現さなかったリチャード

同イベントは東京でも行われましたが、一向に姿を現さないAphex Twinことリチャード・D・ジェームスに痺れを切らしてオーディエンスと運営側でひと悶着あったとか。

大阪でも似たような状況でしたが多分東京よりは空気が良かったんじゃないかと。実際は舞台袖で幕間にかなりの時間DJをしていたらしいですが真相はわかりません。

でもまあ楽しいパーティーでした。クラブイベントをパーティーと表現したりしますが、これぞまさにパーティーというバカ騒ぎで楽しかった。終わったら頭すっからかん。

AGENT30ことボグダン・ラチンスキー

一番盛り上がったAGENT30ことボグダン・ラチンスキーのことを後々調べると、日本の南山大学に留学してたみたいですね。だからあんなに日本語が流暢だったのか。

ちなみにその数年後たまたま図書館で借りた「WEBデザイナーになるには?」的な本に、『南山大学に通うボグダン・ラチンスキーさん』のインタービューが載ってて「あのときのアイツか!」と驚いたのを覚えています。うろ覚えですが「日本での就職は難しい」的なことを言ってたような。

その後bjorkのリミックスなんかもしてたりして結構活躍してました。

www.youtube.com

このアルバムを心斎橋のシスコで見かけては買おうかどうか迷っているうち、次第に忘れてしまっていましたが今になって気になってきています。 

Boku Mo Wakaran

Boku Mo Wakaran

 

「ボクモワカラン」って言われてもな…

2017年時点でリフレックスから新譜が出ているのか調べてもいまいちよく分かりませんでしたが、当時は自分の中でwarpと双璧を成すレーベルというイメージでした。変態、あるいは天才の集まり。いつもワクワクさせてくれる。そんな感じ。