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【ライブレポ】RAINBOW2000 HAKUSAN’99 -十六夜-[1999.08.28]

この記事に掲載する内容は、1999年に石川県の白山瀬名高原スキー場で行われたRAINBOW2000’99のレポートであり、その当時に書いたものの再編版です。

私が20歳前後のころに書いた稚拙な文章ではありますが、当時の熱や思いが伝わるようその当時に書いた文をなるべくそのままに、間違っていたりあまりに青臭い部分は修正して掲載します。

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 RAINBOW2000 HAKUSAN’99 -十六夜-

SUMMER OF RAINBOW

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1999年8月28日、今年もRAINBOWの季節がやってきました!

”テクノ”という枠でひとまとめにされているものの、ハッピーハードコア、エレクトロニカ、ドラムンベース、ニューエナジー、トランス、ミニマル等々、多彩なジャンルのトップアーティストが勢揃い。これら多彩なジャンルををごった煮にして楽しめたり、自然との一体化(苦あり楽ありですが)が味わえるのがRAINBOWもといフェスティバルの醍醐味。今年もそれを味わいに白山へと行って参りました。

開演時間過ぎに到着

車に揺られ揺られ会場に着いたのは開演時間を過ぎた午後5時前。天候は曇り気味。雨が心配。

車を降りるなり、辺りにモフモフと響く四つ打ちのキックの音が耳に入る。今年は”FUTURE SITE”と銘打たれたTECHNICS GARDENは去年と同じくまだ明るい早い時間から盛り上がりを見せている様子。

しかも去年より明らかに規模が大きい。なんせ去年と比べものにならないぐらいサウンドシステムが巨大化。なにやら期待できる感じのどでかいスクリーンも設置してある。ここがセカンドステージと言っても過言ではないでしょう。ネット中継に加え、テクニクスもといパナソニックの力の入れようが感じられる。

SPACETIME CONTINIUUMはキャンセル

そんなFUTURE SITEを横目で見つつ、チケットを渡していよいよ入場。去年と同様、ゴミ袋(SEED JAPAN)を手渡される(今年はゴンドラ券&タイムテーブルは手渡されず。残念)。

あれ?タイムテーブルはどうなってんのかな?と不安になるも、ほどなく看板のタイムテーブル発見。なんか修正しまくってんなと思ったら、出演予定だったSPACETIME CONTINIUUM(実は97年のRAINBOW2000 Mt.FUJIにも出演していたらしい)がキャンセルとのこと。いろいろ調べて期待してたのに残念。

売店コオロギマジックマッシュルーム

売店(T-シャツ、地元の特産品etc..)の立ち並ぶレストハウス横を抜けてメインのEARTH SITEに出ると既にSHOKO-FのDJが始まっていた。今年のメインステージは白い巨大なドーム型テント。前面は透明のビニールで隔てられていて、外と中が遮断されてる感じでちょっと残念。でもまあ出演者との距離が短くなったからいいか。

とりあえずステージ向かって左側の高台にシートをひいて、ビーチテントを立ててペース基地を確保。会場全体が見渡せるよい位置。

しかしやたらとコオロギが多い。異常に!今年のフジロックでは人よりトンボが多かったと聞くが、コオロギのほうが見た目ゴキブリなぶん厄介であります!虫嫌いの人なら卒倒しそうなシチュエーションでしょう。

まあ、とにもかくにも落ち着いたので(無理矢理)、辺りを見て回ることに。

まずはレストハウス横の売店。RAINBOWオフィシャルグッズ、CD、特産物、などなど。その中にあって異彩を放っていた合法ドラッグの店で、同行した友人はマジックマッシュを購入。使用後の感想は「効く!」とのことでした。その後、ECO VILLAGEと銘打たれた屋台村へ。去年より屋台が増えて料理の種類も倍増した感じ。多国籍になったというか。

DUB SQUAD

6時前、そろそろかなと思いステージ前に行くとちょうどSHOKO-FのDJが終了。ほどなく、アルバム通り「I DON’T KNOW ANY OTHER WAY!」のサンプルと共にDUB SQUADのライブがスタート!

一曲目はアルバムの流れ通り「GIANT IN THE DOME」へ。

BPM90前後のゆったりしたこの曲、目の前の巨大スピーカーからでるDUBBYなベースラインがビリビリと体にあたって非常にキモチイイ。地をはうようなベースラインとは対称的に宇宙を漂うようなフワフワした上モノも最高!これぞDUB SQUADの真骨頂!ようやく自分の中でRAINBOWが始まった感じがした。

曲の中盤、「let’s play..」のサンプルと共に益子さんのギターが炸裂!ヒャー、カッコイイ!ギターの音が入ると、パッとその音の世界が変わる感じがなんかタマランですよ。宇宙からアリーナに瞬間移動というか。ああ、わけワカランですね、スマン。

2曲目は聞き慣れない曲。おそらく新曲。小気味のいいブレイクビーツとDUBBYな上モノ。これも気持ちいい。踊れる踊れる。

その後も次々の聞き慣れない曲が続く。ってゆうか一曲目以外は全て新曲にてライブ終了!これは驚いたというかなんたる度胸というか。名曲「TANGLE」や「MADNESS」を今年も白山で聞けることを期待していたけど。でもやっぱり最高でした。

去年のレインボー以来、FAIBOY SLIMの来日公演でのライブ、フジロックフェスでのダンステントのライブを経て一回りも二回りも成長した感が。いつになるのかわからないけど新アルバムに期待!です。今度大阪でライブ演るときは行くぞ!

クラナカ+GOMA

DUB SQUADのライブ終了後、興奮気味で余韻に浸りまくり。そうしてる間にクラナカ+GOMAのDJがスタート。

GOMAさんは、アボリジニーの楽器で世界最古の管楽器・ディジュリドゥーの奏者。ドラムンベースミーツディジュリドゥーとはいかに?しばし見入る。

クラナカの作るダビーな音世界となんだか表現しがたい音を生み出すディジュリドゥー。なんだか凄いことになっているけどまったく踊れない。なすすべのないままその場に立ちつくす。しかしディジュリドゥーの音はホゲ~♪ボエ~♪というかブベ~♪って感じで聴いているとボーっと入り込んでしまう。ってねこぢるも漫画で書いてたなあ。

なんかもう、アッチの世界の音。あの長い管のなかはあの世に通じてるに違いませんゾ!なんて下らないことを考えているうちに、すっかり日が落ちて辺りは闇の中。おもむろに蛍光ライトを折って光らす。オレンジ色が至極鮮やか。

そうこうしてる間に、徐々にビートが走り出す。そして気付いたころにはアッパーなドラムンベースにシフト。踊れる踊れるっゆうかいつの間にやら踊らされてしまいました。これは一本取られた!ホントすごいプレイでした。

AOA

踊り疲れて腹も減ったので食事タイム。道中にコンビニで仕入れたおにぎり類を食う。味気ない、物足りない。というわけで屋台村へ。

今年は本当に種類豊富でどれも美味しそう。タイカレー、タイラーメン、シシカバブとか多国籍な屋台がずらり。そんな中、友人3人が”チキンケバブ”なるものを購入。ナンにキャベツ、チキン(グリルでグルグル回ってるチキンをナイフでこそげ取ったやつ)、等を挟んだもの。美味そうっていうか美味いらしい。俺も食べたかったけど財布を置いてきちゃったんだよねー。その場はガマンして後で食べにこよっと。待ってろ、陽気な黒人さん。

AOAのライブはネット中継の映像が流れるディスプレイで観戦。ボアダムスのメンバーが参加するユニットで、ゴアトランスと聞いていたがそんなにゴアではないような。とにかくステージに人がたくさんいる。弦楽器、管楽器、打楽器、デジタル楽器いりまじった構成。後日知った話だけど、インプロヴィゼィション主体のライブ展開で、ライブの出演者が毎回異なり、二度と同じ曲はやらないらしい。もひとつ踊る元気も出なかったのでシートに寝ころがって休む。

EYE

続いてこれまたボアダムスのメンバーのEYEのDJ。この人のDJは、ついこの前に開催されたゲットフリーダムというRAINBOW関連のイベントで聞いたばかりだけど、今日は本領発揮といった感じだった。

テンポなんて関係なしでメチャクチャな感じなんだけど、なんか凄い。なにが凄いのか説明つかんけど。山本精一のROVOとかヨシミさんのOOIOOとかから察するに、本体のボアダムスってすごいんだろな。ちゃんと聞いたことないからチェックしなきゃイカン。

でもだんだんEYEさんがロッコツマニアの人に見えてきた(どっちでもいい)。疲れたので再び休む。まだ空は曇ったままで、星一つ見えない。さっきから4~5基あるスポットライトが上空の雲の一点を照射していて、おそらく”月”を模した感じに見える。出ないかなあ月。

JOUJOUKA

そろそろ夜も深まってきた午後10時。

次のJOUJOUKAはよく知らないけど、LIVEだからいちおー見に行くかーってな軽い気分で再びステージ前へ。ほどなくEYEのDJが終了しJOUJOUKAの登場。ステージにはTSUYOSH、シンセの人とギターの人(適当でスミマセン)の3人構成。

RAINBOWPAPER(RAINBOWが発行しているフリーペーパー)には”新次元トランスバンド”などと表記されていたので、あんまし興味ねえわーなんてボケーッと構えてたらヤラレました!格好良すぎ!ロックですよこれは。トランスロックとでもいうべきか。

TSUYOSHIがパーカッションやターンテーブルで刻むシャープなブレイクビーツの上に鳴る、これまたシャープなギター&シンセ。これはどこぞ(どこ?)の海外ビッグビートバンドよりもよっぽどカッコイイですぞ。四つ打ちありブレイクビーツありの文句ナシのかっこよさで、1時間弱のライブで強烈な存在感を残してくれました。ナメててすいませんでした!

YOJI BIOMEHANIKA

続いてはニューエナジーマスターまたはMR.RAINBOWこと(勝手に命名)YOJI BIOMEHANIKAの登場。とともに周囲の人口密度が増す。サイレンのようなヴゥ~~ン♪ヴゥ~~ン♪というシンセ音が印象深いお馴染みのあの曲でスタート。

いやしかし去年にも増して演出されまくり。照明はブレイクのたびにオーディエンスを残らず全照射!両手を挙げたハニカーをピカーッと照らす!途中から疲れたので休みながら見ていたのですが、その光景の凄いこと。こんな深夜に(もう日付が変わる頃なのに)、こんな山奥で、こんな地面がビリビリするぐらいの大音量で、こんなに大勢の人間がワサワサ踊ってる光景の異常なこと異常なこと。改めて音楽の持つパワーを感じました(そりゃ、どこぞの政治家も皇居前でグレイのライブをやろうなんてトチ狂ったことも言うかもネ)。

この日のYOJIさんのプレイは、数日前の万博でのプレイより幾分キラキラ感が減ったというか。それもこの日のどんよりした天候にマッチしてました。でもYOJIさんのDJのときだけ晴れてきて、星と明るい月が見え隠れしていたのは印象的でした。月が見えただけでちょっと感動。

そして夜も深まった午前0時半頃、こういう大きなイベントには一組や二組はいる、「ところであんた誰?」ポジション、RAINBOW’99担当のD.A.V.E THE DRUMMERのライブ。YOJIのDJの最中から、後方のライブステージにて独りで機材セッティングを行っていた彼、もちろん独りでライブ。実はちゃんと聞いていないんですが、上モノよりドラムなどのボトムレンジの音で勝負といった感じの曲調だったらしい。

僕はというと、YOJIのときよりガラガラになったステージ前をライブそっちのけで、念願の”チキンケバブ”を頬張りながら満足顔で横切ったり、会場中をフラフラしていたんですが。そういえば雨が降り出したのはこれくらいの時間からでした。

FUTURE SITE

そんな僕もただ単にフラフラしていたわけではございません。FUTURE SITEことテクニクスガーデンに行ったりしてました。テクニクスガーデンのほうが、なんというか、現在の日本のクラブシーンが生で感じられるというか。こちらは音よりVJが楽しいし、クオリティ高かったです。あと、野外で回るミラーボールは、山の斜面とか建物とか辺り一面に光りの粒が走りまわり、なかなかアメージングな光景でした。メインステージのVJははっきりいってツマラないんですよねー。

TSUYOSHIと火事

メインに戻ると、ちょうどTSUYOSHIのDJプレイが開始。

この人はもっとゴアトランスとかサイケデリックなプレイをするという先入観があったんですが、なかなかどうしてテクノでした。しかしこの頃から雨が断続的に降るようになり、雨足も強まり始めたため、仲間と相談の末、とりあえずゴミを集めて荷物をたたんで車に戻ることに。

が、その作業中、遠くのフリーマーケットの付近に炎があがっているのを発見!アトラクションかなってしばらく思ってたんですが(火のついた棒をクルクル回してる人いたし)、正真正銘の火事でした。不謹慎な話ですが、ちょっとお祭りっぽさを煽ってくれた気がしたり。けが人が出なかったらしいのが不幸中の幸いでした。

Q-HEY

そんなこんなで、あわただしくてよく分からなかったTSUYOSHIの次はQ’HEYさん。

雨足の強まる中、意を決して車から離れてステージ前へ。しかし、もともと数日前の雨でぬかるんでいた地面は更にドロドロ。踊っていると泥は跳ねるわ、足は沈んでいくわで、どうしようもないので少し離れたコンクリートの側道で踊る。

去年よりもずいぶんハードなミニマルが多いように思われた。文句ナシに去年よりカッコイイ。ハードなトラックがフェードアウトすると共に、ラストは去年も回していたUNDERWORLDの「REZ」。やはりこれは嬉しかったー。この時ばかりは雨も気になならないほど幸せな気分でした。

RICHIE HAWTIN

続いては、今回のメインアクト、RICHIE HAWTINのDJ。雨は降り続いているものの、さすがにステージ前に人が集まる。

それに、なぜかステージ後方にもさっきまでの出演者を中心に人が集まってリッチーのプレイを見てるのがなんかオモロかった。

そろそろ疲れと、雨に濡れた寒さで、音の方はよく覚えてないです、すいません。ただ、ネット中継用のモニターでみたリッチーは、精巧なサイボーグといった感じでした。雰囲気が。

RAINBOW2000’2000へ

その後、寒さに耐えかねて、一度車に戻って着替えてから再び参戦するも、疲れと雨に負けて午前4時を過ぎた頃にあえなくリタイア。TOMOとYO-Cのプレイは未体験のまま、車に戻って休む。濡れた服を着替えたり靴を乾かしたりして落ち着いた頃には夜が明けていました。

総括!全体的にみて、今年のRAINBOWは去年よりよかった!単なるブームではなかった、日本のテクノシーンの成熟がひしひしと感じられるイベントでした。

いよいよ来年は2000年。2000年でとりあえず終了予定のRAINBOW2000ですが、来年は富士でのRAINBOWも復活予定とのこと。白山もよりパワーアップして一年後に帰ってくるはず。今からその日を心待ちにしています。来年、富士か白山かどうなるか分からないけど、RAINBOW2000に参加し、そこで会いましょう!

2017年の視点で振り返る「RAINBOW2000 HAKUSAN’99 -十六夜-[1999.08.28]」

確かこの時から2~3ヵ月後だったと思います。夜の10時から11時台ぐらいにやっているニュースで「野外イベントで大麻が蔓延」みたいなニュースが始まりました。

なんとなく見ていると、そこに映るのは紛れも無く自分が行ったRAINBOW2000の会場ではないですか。切り取り方の問題ではありますが、危険な集まりみたいな雰囲気ばかりが伝わるような内容でした。確かにまあそれっぽい人がいるのは現場でも認識していましたが、地元の方がお店を出していたりしてほのぼのした一面もあったのになあ。でも事実は事実。

レポートの締めで「RAINBOW2000’2000」へなんて書いていますが、多分これが引き金になったからでしょう、2000年にRAINBOW2000が開催されることはありませんでした。なんとも残念な幕切れでした。