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木造3階建て住宅は地震や台風で揺れるのか?2018年の災害体験記

3階建て

木造3階建て住宅に住んでいる人、またそこに住むことを検討している人にとって、自然災害というのは必ずついてまわる不安の種だと思います。

多くの人は、2階建てに比べ「3階建ては地震にも強風にも弱い」というイメージがあるんじゃないでしょうか。私自身はそうでした。3階建てはどうしても高さがある、その割には2階建てより敷地面積が狭いから建物が細長い。それゆえ「揺れやすい」というイメージが拭いきれません。地震だとどんなに強い建物でも揺れるのは仕方ないとして、強い風が風吹いても揺れてしまうんじゃないだろうか?

私が新築で木造3階建ての家に住んでから1年。

幸か不幸か、その1年の間に記録的な地震、そして台風に見舞われた我が家の体験記を残したいと思います。3階建てを検討してるけど、自然災害に対して不安がある人。そんな人の参考になれば。

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大きな災害が関西を襲った2018年

短期間で複数の災害に遭った関西

2018年。

この年は、記録的な災害が立て続けに日本列島を襲いました。この記事を書いている2018年9月現在でそれをリストアップしてみます。(※これ以上災害が起こりませんように)

  1. 2月まで続く記録的な低温と積雪
  2. 6月の大阪北部地震
  3. 7月の西日本豪雨
  4. 8月の台風20号
  5. 9月の台風21号
  6. 9月の北海道胆振東部地震

関西地方、大阪の端っこに建つ我が家。リストアップした災害の半分を体験しました。関西に住み続けて40年、これほど短い間に大きな自然災害に見舞われたのは記憶にありません。

簡単に振り返ってみましょう。

寒さは快適に乗り切った

冬場の低温。確かに例年にない寒い冬だったんですが「今年の冬は寒かったね」となんとなく思い出す程度。多少光熱費がかさんだ程度で実害ゼロ。

その前の年まで住んでいた賃貸は築三十年で冬場は隙間風ぴゅうぴゅうだったのですが、さすが新築は断熱性も気密性も高くて寒い朝も夜も快適でした。

また、暖房もガスファンヒーターがメインだったので、極端な低温時でも問題なくパワフルに可動してくれました。

地震の揺れはさすがに怖かった

そして6月の大阪北部地震。

我が家は震源から20キロ程度、震度5弱を記録した地域でした。地震があった時間は2階にいたのですが、何かにつかまってないと立っていられないほどの強い揺れ。阪神大震災のときより揺れが強いと感じました。

その時感じたのは命の危険…というより「買ったばかりの家が~!壊れる~!ヤメテ~」という感情。それが先立ってしまう始末。今となっては笑い話ですが。この時も家の中のものが多少壊れた程度で被害らしい被害は無し。

3階のほうが揺れは大きかったと思いますが、登校や通勤時間帯だったので誰もおらずけが人はなし。物の被害もなし。

豪雨被害は特になし

地震から間髪入れずに始まった西日本豪雨。

何日も降り止まない強い雨。スマホからひっきりなしに鳴る緊急速報。緊急放水をすることになった近くのダム。眠れない夜を過ごしましたが、これも被害はありませんでした。

台風の経験をピックアップ

そして立て続けに襲来した台風20号と21号。

こちらも結果的に被害らしい被害は無く済みました。しかし、関西空港を水浸しにするなど大きな被害をもたらした強い台風21号。この台風の通過を木造3階建て住宅の中でやり過ごしたのですが、それは今まで味わったことのない恐怖でした。

この記事ではこの台風の体験記を中心に、木造3階建を強い台風が襲ったらどうなるかお伝えしたいと思います。

強い台風が来ると木造3階建て住宅はどうなる?

そりゃどんな家だって木造なら揺れます

この記事の本題である「木造3建て住宅は台風で揺れるのか?」という疑問。まず結論としてはっきり書きます。

がっつり揺れます。はい。そりゃ木造なら揺れないほうがおかしい。

2017年の新築であっても当たり前に揺れます。ただし、台風のなかでもそれなりに風速がある強い台風のときのみ。多少風が強い程度ではそうそう揺れないのでご心配なく。

しかし2018年の台風21号は別格でした。

今まで経験したことのない強い台風がきた

8月末に上陸した台風20号もそれなりに強い台風だったんですが、なんといっても記憶に残るのが9/4日に関西へ上陸した台風21号。

世間では北海道の地震へすぐに話題が移ってしまいましたが、高潮で関空や六甲アイランドが水浸しになり、大型船が関空の連絡橋にぶつかったあの台風です。日中に都心部を通過したので、風の恐ろしさを伝える多くの動画が撮影されました。

この台風が私が住む場所のわずか西を通過していきました。これがその日の風速です。

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出典:大阪府の過去のアメダス実況(2018年09月04日)(気温) – 日本気象協会 tenki.jp

最寄の観測所は豊中です。最大風速は18メートルとなっていますが、瞬間的にはもっと強い風が吹いていたはず。

曲がりなりにも40年ほど生きてきた私ですが、記憶にある限り今までで一番風が強いと感じた台風でした。風の強さに身の恐怖を覚えたのはこれが初めて。

そんな強烈な台風の襲来を受けた我が家。私たちは家族4人集まって2階のリビングで台風の通過をやり過ごしました。

その時木造3階建ての家では何が起きたのでしょうか?

強風が吹くたびに地震並みの揺れが

ちょうどこの台風が最接近した時間帯にテレビでローカルの情報番組を見てたんです。MBSの。

そしたら、台風情報番組の司会をしていたアナウンサーが突然「今、地震の揺れを感じました!」と言い出したんですよ。おいおい台風と同時に地震なんて勘弁してくれよと思いながら見てたんですが、次第にスタジオがざわざわしだし、どうやら風によってビルが揺れたらしいぞと。それほど強い風が吹いたと。

鉄筋鉄骨とコンクリートで出来たビルが風で揺れるんですよ?木で出来た木造住宅が揺れないはずない。揺れて正解。2階建てだろうが3階建てだろうが木造なら揺れる。

個人的な感覚で書かせてもらうと、2階に居て体感的に震度2~3ぐらいの揺れに感じました。ちょっと身構えるぐらいの揺れ。これが台風最接近時の間、1時間ぐらい断続的に続きました。そのときはそれどころではありませんでしたが、もし3階に居たとしたらさらに強い揺れを感じたはずです。

置いてあるものが落ちたり家の構造に損傷を与えたりする、というほどの揺れではなかったのですが、台風で木造住宅が揺れるのは確か。そういうもんだと思いましょう。

先にも書きましたが多少風が強い程度ではめったに揺れませんし、誰かが階段を上り下りした程度で今の3階建ては簡単に揺れませんのでご安心を。もちろん個体差はあるでしょうが。

風圧で窓や扉が開かなくなる

強い風が吹く最中、2階ベランダから「ゴーン」と音がしました。

何か飛んできたのかな?と思って確認すると、ベランダに置いていた空き缶やペットボトルを入れる3段組みのダストボックスが倒れている。ありゃりゃ。とりあえずペットボトルが風で飛ぶといけないので、ちょっとだけ位置をずらそうとサッシに手を掛けて開けようとしました。

しかし開かない。力を入れても開かない。反対側で誰かがおさえてるんじゃないかっていうぐらい重い。

それが風圧によるものと気づくまでしばらく時間がかかりました。

大きな窓や玄関が南面にある我が家。ちょうど南風が強い台風だったので、相当な風圧がかかっていたようです。玄関扉も非常に重く、開けたとしても風で急激に押されて閉じようとするので、大変危険な状態でした。

これは3階建てや一戸建てに限らない話ですが、台風通過中に窓や扉を空けるのは困難かつ危険なので、片付ける必要があれば前もってやっておきましょう。

ものが飛んできて壁に当たる

窓から外の様子をうかがっていたのですが、台風が接近し風が強くなるにしたがい、いろいろなものが飛来するようになりました。

葉っぱ、ゴミ箱、トタンの切れ端、なんかよく分からんアクリル板。どこから飛んできたのか分かりませんが、風のピーク時にはそれらが宙を舞う状態で、当然ながら家にガンガン当たってきます。いやガンガンは言い過ぎた。カンカンコツコツと、確実に何かが壁に当たってるのが分かります。

窓際にいたらガラスを突き破って物が飛び込んでくる可能性も考えられたので、家族に窓から離れるよう言い聞かせ、部屋の中央に集まって強風をやり過ごしました。

壁にガンガンものが当たって大丈夫だったかというと、多少は表面の塗装がはげてしまっている箇所がありました。最近の一戸建ての外壁として主流なサイディング。表面の塗装はかなり脆いです。硬いものがぶつかるとすぐ剥げる。まあ性能には影響無さそうなんでこのままでいいかと思ってます。

ちなみにその前の年は、引っ越し前に台風が襲来し、隣家の瓦が飛んできてうちの壁に穴が空きました。

保険で直せたから良かったんですが、家の裏とかだとなかなか気づけません。台風が通過して天気が落ち着いたら、家の周りをぐるっと回って壁のチェックすることをおすすめします。

ただし3階建てだと3階部分の壁が高くて目視のチェックが難しいですし、屋根なんてもっと難しいです。特に3階建ての屋根は薄いことが多いから、下から見上げただけでは何も見えない。幸いにしてうちは直近に5階建てのマンションがあったので、そこに上がらせてもらって上から屋根をチェックすることができました。

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近隣のマンション上階から屋根を確認させてもらった

台風後の家の状態をチェックするのが難しい。これは3階建てのデメリットです。

停電になる

強風が吹くたび部屋の照明が一瞬暗くなったり、ときに数分間停電したりを繰り返していたのですが、その日一番の猛烈な風が吹くと同時に停電となってから、復旧にかなりの時間を要しました。日が落ちて暗くなってからも停電したままで、復旧したのはその日の夜遅く。

台風が過ぎ去ったあとの夕方のことなんですが、急速に天候が回復したので、他の家はどうなってんだろうと近所を散策しました。皆さん停電しているという状況は同じで、多くの人が近所をうろうろしていました。夜になって分かったのですが、特定の区画だけが停電しているようで、道路1本隔てた向こう側は煌々と明かりがついている場所もあり。

今回はこのように一区画が一気に停電したので、どこかの誰かが連絡をしてくれた結果、比較的早く復旧できたのかもしれません。これが例えば、近くの電柱から自宅への引込み線が切れたなどピンポイントな停電なら、自分で連絡しないといけないし、復旧にもかなりの時間を要したことでしょう。

そう考えると、マンションより一戸建てのほうが停電時のリスクが大きいのかもしれません。

ただ、マンションはマンションで、停電すると水道のポンプが使えなくなり、上階では水道が使えない事態になることも。うちの向かいのマンションがそうでした。

換気扇から風が吹き込んでホコリが舞う

今の新築住宅はシックハウス症候群対策のため、24時間換気が義務付けられています。

戸建てだとお風呂(浴室乾燥機)とトイレに換気扇が取り付けられ、そこから家の中の空気が排出されるようになっています。

お風呂の換気は浴室乾燥機の機能を使うのでそうそう逆流しませんが、トイレにある換気扇は比較的簡易なものが取り付けられているので、強い風が吹くと部屋の中に空気が逆流してしまいます。

その結果どうなるかというと、普段きっちり掃除をしていない場合、換気扇の羽根やカバーに付いたホコリがどばっと落ちてきます。うちは掃除をサボっていたので、台風が過ぎたあとはトイレに黒いホコリのかたまりが点々と落ちていました。

まあ大した被害ではありませんけど、地味に困るのと、日ごろの掃除不足をまざまざと見せつけられてへこみます…

木造3階建てだからといって特別災害に弱いわけでもないけど

というわけで、木造3階建ての戸建て住宅に強い台風が襲来したらどうなるのか、実録レポをお送りしました。

個人的な認識ですが、2階建てに比べて今の3階建てが自然災害に弱いかというと、必ずしもそうはいえないと思います。少なくとも「3階建て=危険」という認識は時代遅れ。

ただし「今の」3階建てという点に注意が必要です。

今40~50代ぐらいのみなさんは記憶の片隅にあるかもしれませんが、2005年に耐震偽装事件という大きなできごとがありました。いわゆる姉歯事件です。

あのときはマンションの耐震偽装ばかりがとりあげられましたが、かの建築士は木造3階建てにも関わっていたらしく。

この一連の事件を受けて建築基準法が改正され、木造3階建てについても厳格な審査や検査が求められるようになりました。それ以降、木造3階建ての品質が飛躍的に高まったとのことです。くわしくは設計事務所様が書かれたこちらの記事をご参照ください。

以上のことから、2008年以降ぐらいに建てられた木造3階建てなら自然災害に対してとりあえず安心できると言っていいでしょう。逆に2000年より前に立てられた古めの木造3階建てについては、お住みになる前によ~く調べられたほうがいいのではないかと。

1995年に起きた阪神大震災の教訓を受けて法が改正されたのが2000年前後。それ以前に建った3階建てにはやはり不安が残ります。